JOURNAL SCÈNE 2
心に正直な
偽りのない画面を描きたい(佐藤翠)
SCÈNEで展示を行うアーティストに、SCÈNEディレクターの山本菜々子とアドバイザーの田辺良太がインタビューを行う本シリーズ。今回は、クローゼットやハイヒールなどファッションに関連したモチーフを多く描いている佐藤翠さんに、作品づくりやファッションについてお話を伺いました。
大好きだった絵が一度は楽しくなくなった
フランスの空気を感じる色彩
自然に咲く花の生命力ある姿に惹かれる
絵を描く時は下書きをしない
自分が腑に落ちる作品を創る
文・構成:山下千香子
写真撮影:石塚定人
撮影協力:小山登美夫ギャラリーoffice
SCÈNEからの質問
Q.佐藤さんにとってアートとは? 美とは?
どちらも、
「なくてはならないもの」です。
PROFILE
佐藤翠
色とりどりの服が掛かったクローゼット、高いヒールの靴が並ぶシューズラック、鮮やかな花々。佐藤翠の絵画は、女の子の憧れが詰まった宝石箱のようです。画面を眺めていると、大胆で素早いタッチがモチーフの輪郭を溶かし、具象性と抽象性が共存しつつ鮮やかな色彩と卓抜な構成が強い魅力を放っていることに気づきます。美術史家・美術評論家の高階秀爾氏も指摘する通り、佐藤の作品は、絵画の魅力、喜びに溢れ、「ほのかな、かすかな官能性の香りがいわば隠し味のように重なって、比類ない豊麗な世界」高階秀爾『ニッポン・アートの躍動』(講談社)を生み出しています。
佐藤翠は1984年、愛知県生まれ。2008年に名古屋芸術大学絵画科洋画コースを卒業。在学中にはディジョン国立美術大学(フランス)へ交換留学。2010年に東京造形大学大学院造形学部で修士課程を修了しました。現在は名古屋市を拠点に制作しています。作品は、芥川賞受賞作家・中村文則の小説『去年の冬、きみと別れ』(2013年、幻冬舎)の装画や、松永大司の映画『トイレのピエタ』(2015年)の劇中に使われたり、『花椿』(資生堂)では原田マハの短編小説と挿画でコラボレーションをするなど、その活躍の場を広げています。「VOCA展 2013 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」(2013年、上野の森美術館、東京)では大原美術館賞を受賞、作品は同美術館に収蔵されました。2015年には資生堂ギャラリーでのグループ展「絵画を抱きしめて Embracing for Painting -阿部 未奈子・佐藤 翠・流 麻二果展-」に出展。今年は、8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryにて小山登美夫ギャラリーでの3度目の個展「Secret Garden」を開催した他、「あいちトリエンナーレ2016 虹のキャラヴァンサライ」にも参加しています。
ARCHIVE
JOURNAL SCÈNE 1
INTERVIEW w/ YASUMICHI MORITA
自分の目では見られないモノクロームの世界を
カメラで切り取る~森田恭通